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Web相談事例08 アルバイト学生で国民健康保険が親の扶養から外れないようにするための収入基準は?

Q.

■ニックネーム
学生A

■ご相談内容
その他

■ご相談したい内容
 アルバイトをしている大学生です。親が自営業で、私も国民健康保険に入っています。
 国民健康保険が自己負担にならない範囲で、出来るだけ多く(目標80万)稼ぎたいです。

2023年
1月〜4月 0円
5月 10865+交通費1068−所得税332
6月 54544+交通費14040−所得税1670
7月 30733+交通費7800−所得税941
8月 152125+交通費13260−所得税9000
9月以降未定

これから先、年内に80万貯めるために4ヶ月間毎月15万近く稼いでもいいのでしょうか?もしくは
9月は10万、10月は20万、11月は10万というように波を作った方がいいのでしょうか?

お答えくださいますと幸いです。

■その他FPに伝えておきたいことなど
3ヶ月連続・平均で◯万を超えると扶養から外れる・自分で保険料を払わないといけなくなる、などの話を聞いて不安に思い質問させていただきました。

A. 回答者:白坂大介

ご相談ありがとうございます。

国民健康保険に扶養という考え方はない!?

さて、結論からお伝えしますと、国民健康保険においては扶養という考え方はありません。

世帯単位で国民健康保険に加入している被保険者全員の前年収入を合算して保険料を算出します。

そして全員分の保険料を世帯主が納めることになります。

つまり、アルバイトで収入が発生している時点で、翌年の保険料の計算には加味されることになります。

よって、扶養の範囲内の収入という考えもないため、国民健康保険の保険料を自己負担しなくて済む収入基準というのもありません。

親御さんが保険料をすべて負担してくれるのであれば、アルバイトでいくら稼いでもあなたの負担はないことになります。

その点は、ぜひ親御さんと話し合ってみて下さい。

 

ただし、一方で学生であるあなたが「扶養」という制度のことで留意しておくべき点は、所得税や住民税における扶養についても、親御さんの負担に関わってくるため知っておくとよいかと思います。

 

「社会保険」の扶養と「税法上」の扶養とは別物

先ほどお伝えした国民健康保険に関するお話は「社会保険」における扶養のお話になります。

今回のあなたのケースとは異なり、親御さんが会社員であれば「社会保険(会社の健康保険)」の扶養になっているケースがあります。
その場合には、扶養であるための収入の基準があるため、扶養される人は1年間に稼ぐ収入を130万円未満にしておく必要があります。

ただし、先ほども述べたように自営業者などが加入する「国民健康保険」の場合には、社会保険とは異なり扶養という考えがないということをお伝えさせていただきました。

では、それらとは別に「税法上」の扶養というものがあることもご留意ください。

 

「税法上」とは、主に所得税と住民税の事を指しています。
所得税や住民税では、扶養されている人(被扶養者)が一定の収入以上を稼いでしまうことで、扶養から外れてしまいます。

扶養から外れることによって、扶養している人(扶養者)が所得税や住民税において「所得控除」を受けられなくなります。

簡単に言えば、所得税と住民税が高くなる可能性があるということです。

おそらく学生でアルバイトをされているとのことですので、「特定扶養親族」に該当するのではないかと思われます。

その場合には、親御さんは所得税で63万円、住民税で45万円の扶養控除の適用を受けている可能性があります。

親御さんの実際の所得によって税率も異なりますが、たとえば所得税の税率が20%である場合、あなたが扶養から外れる事で、親御さんが負担する所得税と住民税の金額は以下のように変わってきます。

◆所得税率20%の場合

所得税
⇒控除63万円×20%=12万6千円

住民税
⇒控除45万円×10%=4万5千円

【所得税と住民税の合計=17万2千円】

あなたがアルバイトで一定額以上の収入を稼いだことによって扶養から外れた場合、親御さんが所得控除の適用が受けられなくなった場合には、このように所得税と住民税の負担が多くなる可能性がありますので、それらも踏まえて親御さんともご相談いただくと良いかと思います。

学生アルバイトでの扶養の収入基準

ちなみに、「税法上」の扶養になるための1年間の被扶養者の収入の基準は103万円なのですが、

学生アルバイトの場合には勤労学生控除というものがあるため、1年間で130万円までであれば扶養の範囲内となり問題ありません。

あなたの場合では、80万円を目指しているとのことなのでおそらく問題ないでしょう。

また、これらの収入基準はあくまで年間単位での判定ですので、月々の収入の増減については特に関係ありません。

「3ヶ月連続・平均で◯万を超えると・・・」というのは基本的には問題ありません。

 

なお、これらをカウントする「1年間」とは、毎年1月1日を起算日として12月31日までを1年間とします。

日本では所得税や住民税など個人の税金に関して収入の基準などを判定する場合には、ほとんどがこの期間で見ることが多いです。

 

扶養の収入制限が緩和される!?

最後に・・・

ちょうど先日より、税法上における扶養に収入制限の見直しが話題となっております。

一定期間、扶養の収入制限を緩和する方向性のようです。

これらの話題についても注目してていただけると良いかもしれませんね。