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Web相談事例07 ドル建て保険をやめて積立NISAで運用する方がよいですか?

Q.

■ニックネーム
おすみ

■ご相談内容
貯蓄・資産運用

■ご相談したい内容
現在ではドル建て保険を15年で契約中で3年目になります。
当時あまり知識のないまま言われるがままに契約してしまい、少し後悔しています。
今のドル建て保険を解約し、支払っている同じ額を積立nisaで運用する方がいいのかそのまま15年継続するか迷っておりました。
ドル建て短期解約は損が大きいのかと思い、解約を諦めておりましたが現在の円安で解約するなら今かと考えていました。
今後はどのようにしたら考えたらよいでしょうか?
ご教授いただければ幸いです。
よろしくお願いします。

A. 回答者:ファイナンシャルプランナー 飴谷誠也

おすみさん、こんにちは。
この度はご相談いただきましてありがとうございます。

ファイナンシャルプランナーの飴谷(あめたに)と申します。
今回、証券会社と保険会社の両方でコンサルタントの経験を持つFP飴谷がご回答させていただきます。

どうぞよろしくお願いいたします。

この数カ月、米ドルと日本円の為替相場は大きく円安に動いています。
おっしゃる通り、ドル建ての保険を解約するタイミングとしては、検討する余地は大いにあると思います。

今回はまずは初めに、ドル建ての保険を解約する場合に知っておいていただきたいこと、注意すべき点をご説明させていただきます。

その上で、つみたてNISAで運用するべきなのか?という点をお話しできればと思います。

 

ドル建て生命保険のメリット・デメリット

まずは「知識がないまま、言われるがままに契約をした」という、ドル建の生命保険について整理してみましょう。

おすみさんのご相談内容では、ドル建ての生命保険ではなく、つみたてNISAにした方がよいのか?

とのことでしたので、おそらく推察するに、お金を少しでも効率よく貯蓄したいというニーズから、ドル建ての生命保険に加入したのではないかと思われます。

ドル建ての生命保険で貯蓄をすることのメリットやデメリットについて、まずは確認していきましょう。

 

ドル建て生命保険で貯蓄するメリット

  1. 死亡等に備えた万が一の保障がある
  2. 他の国の通貨で資産を保有することになる(分散投資できる)
  3. 日本円に比べて高い利率で積立ができる
  4. 将来のドルベースでの積立額は約束されている
  5. 生命保険料控除の対象となる

まずは、何といっても生命保険の商品なので、一番大きなメリットは万が一に備えた保障が得られる点です。

貯蓄もしながら万が一にも備えられるというのが生命保険で貯蓄を行う最大のメリットです。

ただし、保障が必要ないという方にとっては、いくらドル建ての積立とはいえ、生命保険で積立をする必要はありません。

ドルで積立や貯金をしたいのであれば、外貨預金の口座で積立を行うこともできます。

ドル建て生命保険で貯蓄するデメリット

ドル建て生命保険で貯蓄をする場合のデメリットを以下に並べてみました。

 

毎月の積立額が為替により変動する

毎月ドルで決められた掛金を払うため日本円に換算すると毎月の掛金が変動しますよね。

おそらく現時点では3年前の加入したときよりも円安なので、当初より毎月の掛金の支払が増えているかと思います。

契約後に短期間で解約すると返戻金は支払った掛金よりも減ってしまう

解約時の返戻金は保険商品によっても異なります。

また払込期間中は解約返戻金が低く設定されている低解約返戻金型の商品などは30%程度さらに返戻率が低くなります。

おそらく3年目であれば、まだ多くが戻ってこない状況ではないかと思われます。

 

このようにドル建ての生命保険で貯蓄をする際に知っておくべきメリットとデメリットをひとまず頭の中で整理してみましょう。
その上で、次にドル建て生命保険をやめてしまうべきかを判断する際のお話をしていきましょう。

ドル建ての生命保険はやめるべきなのか?

判断するためのポイントは以下の点になるでしょう。

 

払った掛金はどのくらい戻ってくるのか?

まずは、保険会社に問い合わせて解約した場合の返戻金を確認してみましょう。

さらには、これまでに支払った掛金の合計額も日本円ベースで確認してください。

おそらく戻ってくる金額が、これまでに支払った金額を大きく下回ることになるとは思います。

まずはその金額を知った上で次のことを考えてみましょう。

 

つみたてNISAでその損失は取り返せるのか?

つみたてNISAは、投資信託で運用することになります。

投資信託とひとくちに言っても運用商品は多岐にわたるため、どのような投資信託で運用するのか?

またどの程度の期間を運用するのか?などによっても将来見込まれる運用効果は大きく異なります。

投資金額や投資期間、具体的な投資信託の商品を仮定すれば、運用効果はシミュレーションすることは可能です。

ただし、あくまでも過去の実績に基づいたシミュレーションです

投資信託の場合は、ドル建て保険のように将来の積立金が約束されているものでもありません。

良くも悪くも、株式市場や世界経済の動向によって運用成果はプラスにもマイナスにも変動すます。

投資信託での運用はこれらを理解した上でご検討されると良いかと思います。

 

とは言いつつも・・・

ここ最近では同じようなケースの方のご相談を多くお受けさせていただいております。

具体的に投資信託での運用シミュレーションをした結果、生命保険でマイナスとなってしまった分を十分に取り返せる見込があると判断して、つみたてNISAや投資信託に貯蓄の方法を見直された方も増えてきました。

つみたてNISA以外の選択肢

ドル建ての保険をやめて、つみたてNISAで貯蓄をお考えなのであれば、ぜひつみたてNISA以外にも似たような運用方法があることを知っていてください。

  • iDeCo(イデコ)個人型確定拠出年金
  • 積立投資信託
  • 変額保険

これらは、つみたてNISAと同じく、毎月定額で投資信託を買って貯蓄運用するために昨今よく活用されている金融商品です。

どれが一番良いという物ではなく、それぞれに比較すると優れている点、劣っている点というものがあります。

また、簡単に言えば、貯蓄の目的に応じて最適な商品を選ぶというのが正しい選択の方法です。

 

たとえば、これらの金融商品と比較した際の、つみたてNISAのメリットは何かと問われた場合には、主に以下の点を挙げることができます。

⑴運用で出た利益に対して税金がかからないこと(税制におけるメリット)
一般の投資信託では利益の20%は税金です。

⑵投資資金がすぐに解約して取り崩せる(流動性におけるメリット)
緊急時にも使える資金として貯蓄運用が可能である。

このようにそれぞれの商品ごとに特徴があります。

それらを理解してご自身のニーズにあったものを賢くご活用いただけるとよいでしょう。

ドル建て生命保険は解約以外のも手段がある

さて、最後にもう一つお伝えしておきます。

貯蓄系の生命保険にある便利な機能を1つご紹介しておきます。

それは「払い済み」というものです。

今回、おすみさんは15年の払込期間を設定してドル建ての生命保険を3年前にご契約されたとのことでした。

この15年の払込期間を3年目の現時点で払込を満了にするというお手続きです。

払い済みの手続き以後は、掛金は支払わなくてよくなります。

デメリットは、保険金額が当初の予定より小さくなります。

【払い済みイメージ】

当初の死亡保険金=1,500万円

※15年払の契約⇒3年後に払い済み(15分の3)

払い済み後の死亡保険金=300万円(15分の3)

これは、あくまでも分かりやすくしたイメージです。

実際には、払い済みをする際の解約返戻金を基準に、払い済み後の保険金額が決まります。

 

払い済みの何が良いのかをまとめると・・・

もし生命保険を解約するとなれば、その時点での解約返戻金(おそらく大きく減っているであろう)がすぐに手元に返金されてしまいます。

一方で今すぐに使う必要の無い資金なのであれば、これまでに支払った掛金はそのまま保険として残しておくというのも一つの手段です。

保険会社では、払い済みをした後もドルでの運用は継続されます。

そこから10年、20年と保険会社に運用を続けててもらうことで、30年後には支払った掛金よりも解約返戻金が無事に増えているなんて事も十分にあり得ます。

果たしてその方法が運用効率として良いのか?という議論はさておき、一つの手段として「払い済み」という手段があるということをぜひとも知っておかれるとよいかと思います。

まとめ

ドル建ての生命保険での貯蓄にも、万が一の保障があるという点では生命保険ならではのメリットがあります。

万が一の保障が不要なのであれば、保険以外の運用方法でも良いでしょう。

また、現在の解約返戻金を確認して、これまでに支払った金額からどれくらい減ってしまうのかも確認してみましょう。

その上で、ご自身の今後の人生設計における投資可能な期間や、運用商品などを具体的に選んで、つみたてNISAで将来的に見込むことができる運用効果をシミュレーションしてみましょう。

それらを踏まえて、解約すべきかをご判断すればよいと思います。

そして、見直しを実行する際には、つみたてNISA以外の投資方法や金融商品についても少し触れていただき、どれが一番自分のニーズに合っているか検討してみましょう。

最後に、解約する方法以外にも、払い済みという手段がありますので、ぜひお調べしてみて下さい。

ぜひ、この回答がおすみさんの人生設計の一助となれば幸いです。

Zoomでもご相談できますので、またいつでもご相談ください。