Web相談事例06 年収700万円と350万円の共働きで住宅ローンをいくらにすれば無理な暮らしにならないか教えてほしい!
Q.
マイホーム購入
■ご相談したい内容
愛知県在住で家族3人(自分(36)・妻(36)・娘(1))です。
マイホーム購入を検討しており、いくらぐらい(総額)の家が買えて、
月々いくら返済すれば無理な暮らしにならないか、また今後掛かる費用なども考慮し教えていただきたいです。
ちなみに年収は現在、自分700万・妻350万です。
A. 回答者:ファイナンシャルプランナー 中野良唯
「住宅予算・住宅ローンの適正金額」について
住宅購入検討の多くの方が悩まれ、相談件数も最も多い内容です。
多い相談ではありますが、簡単には答えが出せません。
なぜ?
と思われるかもしれません。
その理由を一言でいうと、
「収入や家族構成・年齢が同じでも、各家庭の支出や価値観が全く違う」からです。
「自分たちにあった予算を知りたい」
とお考えの方は、必ずライフプランニング個別相談を受けてください。
そうしないと正確な予算の把握はできません。
とはいえ、「なんとなくでも知りたい」とお考えかと思いますので、
予算を検討するためのヒントをご紹介いたします。
住宅購入予算を判断する2つの基準
住宅購入予算を考える際にふたつの基準があります。
1つ目は「借入能力」=いくらのローンが借りられるのか
2つ目は「返済能力」=いくらのローン返済ができるか
このふたつを考えることにより、住宅購入予算が少し見えてきます。
いくら借りられる?「借入能力」
まず「借入能力(いくら借りられる)」についてこれは年収に対して
「いくら借りられるか?」という基準です。
金融機関により基準は様々ですが、フラット35の基準をご紹介しておきます。
この基準を「返済負担率」と呼びます。
返済負担率とは、年収に対していくらの返済かという基準です。
(ここでいう年収は総支給額です)
フラット35の返済負担率
年収400万未満・・・30%
年収400万以上・・・35%
例えば
年収400万円で毎月返済10万円の場合
10万円×12か月=120万円
年間返済額120万円÷年収400万円 = 30%
→ 借入可能となります。
では同じく
年収400万円で毎月返済15万円となると・・
15万円×12か月=180万円
年間返済額180万円÷年収400万円 = 45%
→ 借入不可となります。
ここで重要なポイントがあります。
「返済比率には住宅ローン以外の返済も含める」ということです。
「毎月返済5万円の車のローンがあります」となれば、
先ほどの返済比率の計算に加算しないといけません。
年収400万円の場合
住宅ローン毎月10万円のみ → 返済比率30%
住宅ローン毎月10万円+車ローン毎月5万円 → 返済比率45%
車のローンがある場合は、返済比率に収めるため住宅ローンの金額を減らさないといけません。
他にも教育ローン、カードローン・フリーローンなどある人は特にご注意ください。
このように年収・年齢が同じ場合でも、借入可能額が変わります。
これは、一言で住宅予算を答えられない理由の一つです。
試算はこちらでできますので、一度お試しください。
フラット35 年収から借入可能額を計算
いくら返せる?「返済能力」
続いて「返済能力(いくら返せる)」についての話です。
ここの話はとても難しいです。
人によって試算結果が違いすぎます。
年収・年齢・家族構成が同じであっても
毎月の食費が5万円の人もいれば、10万円の人もいます。
車を持っている人、持っていない人。
お子さんを私学に入れたい人、公立に入れたい人。
ご家庭ごとにすべて異なります。
ですがあえて目安を申し上げます。
一般的によくある基準は、
「理想の返済額は手取りの20%以内」と言われます。
金融機関の基準と比較するとかなり厳しい基準です。
金融機関の基準と比較するとこうなります。
年収400万円の場合
金融機関基準の年収30% → 年間返済120万円
手取り年収の20% → 年間返済62万円
(年収400万円の手取りは310万円くらいです)
金融機関基準と比べ、半分くらいになってしまいました。
なぜここまで違うか?
「一般論としての答え」というのが最大の理由でしょうか。
将来的な支出の上昇(教育費や住宅メンテナンス・生活費など)、収入の推移がよくわからない(転職や退職の可能性など)、老後資金の準備など、不確定要素が多くなると、やはり数字は余裕を見ないといけなくなります。
その結果、金融機関基準との差が大きくなるということです。
ご相談者のケースでシミュレーション
では実際に、今回のご相談者であるご夫婦お二人をモデルに、年収700万円と年収350万円の共働き世帯で金融機関における「借入可能額」と「理想の返済額」をそれぞれの基準に当てはめた試算をしてみましょう。
(いずれも金利1.3%35年返済とします)
まずは
フラット35の基準の借入可能額
(年収700万円+年収350万円)×35% = 年間返済額367.5万円
この場、計算上の借入可能額は 1億321万円となります。
(ただし、フラット35は8,000万円が融資額上限)
次に
手取りの20%基準の返済可能額の場合はどうでしょう
まず年収を手取りに置き換えます
年収700万円の手取り524万円
年収350万円の手取り274万円
手取り合計798万円
798万円×20% = 年間返済額159.6万円
この場合の借入額は4,485万円となります。
まとめますと
借入可能額からの借入上限額は 1億321万円
理想返済額からの借入上限額は 4,485万円
となります。
試算の意味をなさないくらい大きな差になってしまいました。
残念ながら「一般論の限界」といったところです。
まとめ
というわけで、
理想的な返済額・借入額を算出することは簡単ではありません。
各家庭の事情や価値観が大きく影響を及ぼします。
家にあまりお金をかけたくない人もいれば、
家にはこだわりがたくさんあって、理想の家に住むことが人生の目標になっている人もおられます。
大切な事は、
「試算は個別事情を加味した根拠のある数字で実施する」
「自分たちにとって理想(好きな事・叶えたい事)はなに?」
という
理屈(数字)と感情(満足感・好み)のバランスが取れたマイホーム計画が大切ではないでしょうか?
マイホーム計画に限らず、人生においても
「お金に困らないこと」と「夢や理想を叶える」を両立したいところです。
理想を追い求めすぎるとお金が無くなる危険性があり、資金に余裕を見すぎるとつまらない人生になるかも知れません。
そうならないためにライフプランニングを実施し「客観的に自分を見つめ直し、家族のためにどう人生を過ごすか」ということを考えてみてはいかがでしょうか?
是非この機会に、ライフプラン相談を受けられることをおすすめいたします。