Web相談事例05 住宅を8,200万円のフルローンで検討しているが返済は無理なくできる金額でしょうか?
Q.
住宅ローン
■ご相談したい内容
夫 月の手取り42
私 月の手取り20
住宅をフルローンで8200万円
毎月21万のローンを組む予定です。
返済は無理なくできる金額でしょうか?
貯金はあまりなく子供はおりません。
■その他FPに伝えておきたいことなど
今後子供は欲しいと思っております。
A. 回答者:ファイナンシャルプランナー 白坂大介
さて、みねさんが今回お借入を予定されている8,200万円の住宅ローンが、果たして無理なく返済できるのかというご相談ですが、結論から申しますね。
正直、わかりません。
えっ!?プロなのに?!
と、ツッコミが入りそうですが、すみません。
なぜ、わからないのか詳しくご説明させていただきますね。
まず、住宅ローンの適正な借入金額とは、つまりその人(家庭)がいくらまで住宅費用にお金を使ってもよいのか?ということですよね。
これって実は、収入からだけでは割り出せるものではないんです。
なぜならば、みなさんそれぞれに状況が違うからです。
具体的に見ていきましょう。
年齢による違い
たとえば、30歳の年収600万円の人と、45歳で年収600万円の人とでは、今後得られる収入見込みが15年くらい違いますよね。
仮に、65歳で退職だと想定するのであれば、今後も安定的に収入が見込めそうな期間は、45歳の人で残り20年くらい。30歳の人は35年くらい見込めます。でも、怖いことに両者はともに同じく35年返済で住宅ローンを借りることができるのです。
家族構成
みねさんの場合は、現在はご夫婦のお二人世帯とのことですが、今後はお子さんも望んでおられますので将来的にはご家族構成も変わられるかと思います。そうすると現在とは生活費も変わります。まだこれから子育てをしていくご家庭では、学費や教育費にかかる支出が将来に必要となっていきます。子育て世帯などは特にここはしっかり考慮しておく必要があります。
生活水準による違い
また、家庭によって生活の水準はさまざまです。
たとえば、同じ世帯年収の家庭でも、無駄な支出を省き堅実に貯蓄を増やしている家庭もあれば、支出が多く貯金がなかなかたまらない家庭など、生活の水準はさまざまです。
もっと言えば、年収が高いから住宅ローンをたくさん借りて良いというわけでもありません。傾向的に年収が高い世帯ほど生活水準も高い傾向だったりもします。
つまり、住宅ローンの適正な金額を算出する上では、年収だけではなく、家計におけるその他の支出もすべて考慮して判断する必要があります。
このように人それぞれ家庭ごとに、おかれている状況は千差万別です。
マネー雑誌やテレビなどでは「住宅ローン返済は年収の●%までにしなさい!」などという記事や情報をちらほら見ますが、これはハッキリ言ってデタラメです。
もしくは、細かい前提条件のもとに算出されていたりしますので、それは誰にでも共通して言えることではないということを理解していただきたく思います。
このような家庭ごとに、年齢、家族構成、生活水準などさまざまです。
つまり、住宅ローンの適正な借入金額も、これらを考慮して総合的に判断するべきなんですが、それもそう簡単ではないように思います。
解決方法はただ一つ
ただし、これを解決する方法が一つだけあります。
それがライフプランの作成であり、家計のキャッシュフロー表です。
将来、自分達がどのように暮らしていきたいか?
何を大切に(価値観)していきたいか?
今後の収入見込みに対して、どの程度の生活水準が適正か?
どのくらいのペースで貯蓄が必要か?
これらのことを「ライフプラン」として一度計画を立てて、現在から将来までの収入や支出の見込を「家計のキャッシュフロー表」でしっかり明確にして、はじめて適正な住宅ローンの借入金額が見えてきます。
とても面倒そうに思いますが、住宅ローンで失敗しないためには、まずはライフプランを考えることから始めてください。
実際には、なかなか自分だけでは難しいということであれば、我々のような独立系FPをぜひ頼ってみてください。
その場合、住宅会社や金融機関などから斡旋されるFPには少しご注意くださいね。
もしかしたら、そのFPはあなたに家を買うために口裏合わせして送り込まれたFPかもしれません…。
とは言いつつも・・・経験値からして
おそらくFPの経験としての回答もご期待されているのかと思いますのでお伝えさせていただきます。
あくまでも限られた情報での回答になりますので、ご了承ください。
とにかく8,200万円をフルローンで借りるということに不安を感じざるを得ません。
現在は世帯の手取り収入が62万円とのことですが、おそらく今後は、みねさんがご出産に伴い育児休業や、復帰後には時短勤務になるなども想定されるのではないでしょうか。その際には一時的に収入も減るでしょう。
もしも、ある程度の貯蓄があれば一時的な収入減少は乗り切れるかと思いますが、お伝えいただいた情報によると貯蓄はあまりないという事ですので、毎月20万円を超える住宅ローン返済は大丈夫かな?と、不安を感じます。
お二人のご年齢や将来の収入の見込みなどが分からないのですが、どちらかと言えば一旦は冷静になって慎重に計画を進めていく方が良いのではないかと思います。
そしてぜひ一度、信用できる独立系FPにきちんと相談してライフプランを作ってみることを強くオススメします。
そして将来を見据えて安心できるマイホーム計画を進めてください。