田中貴金属工業の改定をきっかけに見直す~純金積み立てと現物資産の持ち方

― FP白坂が受けた相談事例から ―
2025年12月より、田中貴金属工業の純金積立サービスにいくつかのルール変更が行われます。
田中貴金属工業の改定概要
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積立手数料の引き上げ
月額3,000円〜50,000円の区分ごとに手数料が0.1〜0.3%上昇。 -
現物引出しのルール変更
これまでは「重量指定引出し」が可能で、たとえば135gを指定すれば
100g+20g+10g+5g といった組み合わせが自動的に用意され、送料のみで引き出せました。今後は「重量指定引出し」が廃止。「バー指定引出し」に一本化され、1本ごとに手数料が発生します。
小口引出しのコストが大幅に増えるため、実質的に大きな改定です。
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銀について
従来から現物引出しは不可で、売却のみ。今回の改定による変更ではありません。
相談者の悩み
FP白坂に寄せられたご相談は、田中貴金属工業で長年積立を続けてきた投資家からのものでした。
① 金・プラチナの引き出しコスト
「バー指定引出し」によるコスト負担感を強く感じ、なるべく安く現物化したい。
② 銀の現物化ができない
「銀も現物引出しできる」と誤解して積立していたが、実際には不可能。
今回の改定を機に、銀も現物引出し可能な業者を利用したいと考えるようになった。
解決に向けた検討
金・プラチナ
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重量指定で引出せるうちに、田中貴金属工業で現物化。
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積立は停止し、今後はSBI証券で継続することに。
銀
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田中貴金属工業では現物化できないため、いったん売却。
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その資金で地銀バーを一括購入する方向へ。
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この過程で「アサヒメタルファイン」という選択肢を新たに発見。
SBI証券の特徴
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金・プラチナ・銀いずれも現物引出し可能。
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取引価格は税抜表示で、現物化時に消費税が発生。
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ネットでの積立利便性が高い。
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現物バーのブランド指定はできない点が難点。
👉 相談者は今後の積立をSBI証券に移行。
アサヒメタルファインの特徴
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東証プライム上場グループ傘下。
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LBMA認定のグッドデリバリーバーを製造する正規業者。
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オンラインショップで金・プラチナ・銀のバーを購入可能。
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銀バーは100gから1kgまで選択可能で、現物保有に対応。
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送料は全国一律1,200円。
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売却時は合計重量ごとに手数料が決まるため、まとめて売却すれば効率的。
👉 銀を現物で持ちたい投資家にとって有力な選択肢。
保管方法の検討
現物資産を持つ上で「どこに保管するか」も大きなテーマです。
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自宅金庫
手元に置ける安心感はあるが、防犯・火災リスクを伴う。 -
銀行貸金庫
防犯性・耐災害性に優れ、最も安心。コストは月額数千円程度。
👉 今回の相談者は、最終的に銀行貸金庫を契約し、安全性を優先する決断をしました。
まとめ
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田中貴金属工業:重量指定引出し廃止で魅力が低下。銀は現物不可。
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SBI証券:積立継続先として有力。現物化可能だがバーのブランドは選べない。
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アサヒメタルファイン:銀の現物保有を可能にし、コスト・品質両面で安心。
👉 今回の相談事例では、
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金・プラチナ → 田中で今のうちに引出し、以後はSBIで積立
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銀 → 売却資金でアサヒメタルファインにて地金バー購入
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保管 → 銀行貸金庫で安全確保
という組み合わせが最適解となりました。
改定は軽微に見えても、現物資産戦略に与える影響は大きい。だからこそ複数の業者を比較し、自分の目的に合ったハイブリッド戦略を取ることが重要です。


