大手ハウスメーカーと工務店を比較してみました

さあ家を買おう!と思った時に、家を建てる会社をどこかにするか選ぶ必要があります。
主な選択肢として、CMなどでも名の知れた大手ハウスメーカー、又は地域密着型の工務店とでは果たしてどちらで家を建てる方がよいのか。
結論から言うと、一概にどちらが良いというものではないという事です。
人によって、ハウスメーカーが合っている場合もあれば、工務店が合っている場合もあります。
なので、今回はハウスメーカーと工務店ではどのような違いがあるのか。また、それぞれにどのような特徴があり、どのような点を気を付けて見ていけばよいのかを解説していきます。
どっちがいいのか?または、どこの会社にしようか?と悩まれている方は、自分に合った会社が選択できるようになるために、ぜひご参考にしてみてください。
大手ハウスメーカーの特徴
まずは、大手ハウスメーカーの特徴についてみていきます。ただし、大手ハウスメーカーと言っても各社様々な特徴があるため、実際にハウスメーカーにする場合には、そこからさらにどこのメーカーにするのかを選択する必要もあります。その点については、また別の記事でご紹介させていただくとして、今回はハウスメーカーの一般的な特徴を解説いたします。
会社の信用力がある
大手ハウスメーカーのほとんどは全国に支社や支店を置き、CMや広告なども大々的に行っていることから、広く名前が知れている会社がほとんどです。上場している会社も多いので当然のことながら社会的な信用は高く、住んでからのアフターサポートのことも考えると、大手ハウスメーカーの信用力は大きな安心材料となります。
価格はやはり高い
価格に関しては、ハウスメーカーによってもばらつきはありますが、総じて工務店の住宅と比べると割高です。価格を比較する際には、建物本体工事の価格を延べ床面積で割った単価で比較します。1坪あたりの「坪単価」や1㎡あたりの「㎡単価」で比較します。
また、この10年ほどは原材料や人件費の高騰で大手ハウスメーカーの坪単価は年々高くなっています。最近の主な大手ハウスメーカーの標準仕様における坪単価でも、おおよそ80万円/坪を超えてきています。大手ハウスメーカーは信用力が高い反面、広告費や間接部門の人件費なども多いため、工務店で同等仕様の建物を建てた場合に比べて、かなり価格は高くなります。
住宅の品質が一定
大手ハウスメーカーがアピールするポイントに品質があります。これは主要な住宅部品の多くを自社の工場で生産した後に、現場へ運びプラモデルのように組み立てるというのがハウスメーカーの特徴です。つまり、工場できちんと生産管理されているので品質に狂いが少ない上、工事期間もかなり短縮されることになります。一方で工務店は基本的に現場での作業が多くなるため、大工さんや職人さんの腕前にも大きく品質が左右される可能性があります。
社内が分業制であることの良し悪し
大手ハウスメーカーでは、営業担当、設計担当、インテリア担当、工事担当、アフターサービス担当、リフォーム担当と、各段階で分業制となってます。それぞれの専門家がその時々でサポートしてくれるため、もし営業担当者が退職しても、施主と会社との繋がりはきちんと継続されますので安心できます。
ただし、分業制は良いことばかりではなく、たまたま担当になった方と合わない場合も出てきます。営業担当者は契約までの間に自分で信用できるか見定めることができますが、それ以外の担当者は会社が割り振ります。特にアフターサービスの担当者に不満を持ってしまうケースが多くみられます。営業担当者もある程度の時期まではフォローしてくれますが、営業担当者はあくまでも社内では新規の契約を獲りにいく役割を担ってますので、施主の立場からすると、もどかしい気持ちになっているケースも散見されます。
契約から引渡しまでが早い
大手ハウスメーカーは総じて契約から引き渡しまでは早いと言えます。早いところでは契約してから4か月後には完成というスケジュールも可能です。
これは大部分を工場で生産しているという事も理由としてあるのですが、実は社内の事情で早くなっているケースもあります。それは売上目標の達成のためです。
大手ハウスメーカーは上場会社や親会社が上場しているケースが多く、つまり売上目標に対しての社内管理が厳格です。住宅においては完成して引渡しをしなければ資金回収ができないので、1日でも早く工事を完成させて資金を回収する事が社内的には重要になります。
それによって2つのことが弊害となる場合があります。
1つ目は楽しみにしていた間取りやインテリアの打合せが十分に出来ないという事。
2つ目は現場の職人さんの仕事が雑になりがちな事。
契約から引渡しまで急ぎたい場合には仕方無いのですが、そうでない場合にも引渡しまでを急がすハウスメーカーには少し注意が必要です。
工務店の特徴
続いて、工務店の特徴について見てきましょう。ただし、工務店と一言にいっても、ハウスメーカーに比べても、はるかに工務店の数は多く、その企業規模も社内体制もピンからキリまで様々です。よって、ここでご紹介する工務店の特徴というのはあくまでも一般論になってしまいます。工務店選びはハウスメーカーの検討より難しい面は多々ありますが、工務店の中にも素晴らしい会社もあり、大変満足されている方も多くおられます。ぜひここでの内容をご覧いただき素敵な工務店探しの参考にしてください。
価格が安い!?
先述した通り、ハウスメーカーは広告費は間接部門の人件費などで最終的な坪単価はかなり高い傾向になります。一方で工務店は大手メーカーに比べると企業規模も小さく、テレビCMなど高額な広告をしているところもほとんどありません。必然的に坪単価もハウスメーカーに比べると低くなる傾向にあります。ただし、重要なことはどの程度の仕様であるかという点はしっかりチェックしましょう。住宅というのは設備や内装の仕様を下げれば価格が下がるのは当然です。価格だけで高い安いという判断はナンセンス。どの程度の仕様でどれくらいの坪単価になるのか?ぜひ価格と併せて住宅の仕様も詳しくチェックしましょう。
じっくり建てられる
これも工務店によって違いはあるのですが、早く完成させなければいけない事情のあるハウスメーカーと比較すると、工務店はわりとじっくり時間をかけて間取りや設備、インテリアなどの打合せに時間をかけてくれる会社が多いです。ただし、工務店も同じく資金繰りに余裕がなければ1日でも早く資金回収がしたいため、中には完成を急ぐ工務店もあります。よって、こちらの意図せず完成を急がせる工務店は資金繰りに余裕がない?ということも考えられますので工務店選びの参考にしてみるのもひとつですね。
社内のスタッフ体制
社内の組織や体制は工務店の規模によって様々です。ハウスメーカー並みに分業が完璧にできている工務店もあれば、特に分業はなく一人の担当者がすべての工程を担っている工務店もあります。どこが良くて悪いということは一概には言えませんが、自分にとってどっちがよいか?という選択になってくるのかと思います。
見積明細や仕様書
見積書や仕様書なども工務店により書式や情報量は様々です。大手ハウスメーカーであれば、かなり詳細な見積明細や仕様書がきちんと整理されているので、見積もり金額の中には何か入っていて何か入っていないのか?ということが後から気になっても明確にわかるようになっています。もちろん工務店でもハウスメーカーと同等の見積明細や仕様書を提示するかいしやもある一方で、大雑把な見積書しか提示しない工務店もあります。決して大雑把な見積書だから悪いというわけではありません。信頼関係があれば安心して任せられます。ただし、もしきちんとしておきたい人は、なるべく詳しい明細や仕様書を作ってもらう方がいいでしょう。
ハウスメーカーが合う人
ここまで大手ハウスメーカーと工務店の特徴を見てきましたが、果たしてどのようなタイプの人がそれぞれに合っているのでしょうか。
まずは、ハウスメーカーに合っているタイプを見ていきましょう。
安心して任したい
先述したとおり、大手ハウスメーカーは信用力かあります。さらには社内の分業体制も確立されていて、住宅は工場で生産管理されているため均一な品質が保てます。
これらのことから、とにかく大きな買い物だけに、なによりも安心が重要であると考えている人は大手ハウスメーカーがオススメです。
担当者にもよりますが、大手ハウスメーカーではさまざまな研修で社員教育も行われています。接客応対などサービス面においても大手ハウスメーカーは一定以上のクオリティが期待できます。
とにかく安心して任せたいという考えをお持ちであれば、ぜひハウスメーカーで検討してみるのがオススメです。
面倒なことが嫌い
あまり自分でじっくり調べたりする時間もない。または、面倒くさい。
ある程度のラインナップされた中から選択していく方がよい。
選択肢が多すぎたら選びきれない。
そこまでこだわりは強くないのでプロにお任せしたい。
このように思う方は、大手ハウスメーカーであれば、分業化されているため各工程で設計やインテリアなどのプロがついてくれて、プロとしての提案もしてくれます。
本人はその中から選んでいけばよい環境が整っているので、そのような方もハウスメーカーがオススメとなるでしょう。
工務店が合う人
では、次に工務店に合うタイプの方を見ていきましょう。工務店にも様々な規模の会社があるので全てが当てはまるというものではありませんが、傾向としては以下のような人が合っていると考えられます。
リサーチ大好き
お任せしたい人にハウスメーカーがオススメなのに対して、自分でいろいろ調べたり、比べたりするのが好きな人は工務店でも問題ないでしょう。
言い換えれば、工務店は大手ハウスメーカーに比べれば社内体制や人員においては、はるかに少人数で運営しているケースが多いため、工務店にもすべてお任せ〜というにはやや心許ない部分もある。
できれば、工務店で家を建てる場合には、自分でもある程度リサーチしたり積極的に動ける事が望ましいと言えます。
リサーチが好きな人であれば、しっかりと自分の目で調べていろいろな選択肢を自ら切り開けるでしょう。
こだわりが強い
ハウスメーカーの住宅は、規格が決まっているので意外と建築の制約が多いのです。
テレビで観るような建築家の家を思い描いている人にとってはハウスメーカーでは対応できなかったり、何とか対応しようと思えば特注となりさらに高額になったりすることがあります。
その点、工務店の住宅は比較的に自由度が高いと言えます。もちろんこだわればそれだけコストもかかりますが、基本的には物理的に可能な事は何でもできちゃうのが工務店です。
こだわりが強い方にとっては工務店の方が対応しやすいケースが多いです。
どちらか迷う場合はFPに相談
ここまでハウスメーカーと工務店について見てきましたが、ご自身にとってどっちがぴったりか判断するための参考になりましたでしょうか。
ここでは書ききれない事もありますので、もしもまだ迷われる方は、ハウスメーカーでも工務店でもなく、中立な立場であるファイナンシャルプランナー(FP)に話を聞いてみましょう。
FPにも専門分野がある
そのファイナンシャルプランナーにも実は得意分野というのがあります。
おそらく多くの人がFPと聞くと保険屋さんをイメージすると思います。たしかに保険業をメインとしたFPが世にはたくさん居ますが、住宅に関する相談はぜひ住宅業界に精通したFPに相談することをオススメします。

まとめ
今回は大手ハウスメーカーと工務店の違いを見てきました。
何度も述べてきたように、どちらが良くて、どちらが悪いというものではありません。
それぞれの違いを理解して、自分にとってはどっちが合っているのかを知る事が大切です。
ぜひ今回の内容をご参考にお役に立てていただければ幸いです。